イチゴのショートケーキを上手にデコレーションするコツと便利なアイテム
ご家庭で手作りケーキを楽しまれる機会もたくさんあるイチゴのショートケーキ。作り方はレシピを参考にできるけど、いまひとつ仕上がりが美しくない。そんな思いをされたことはないでしょうか。
そんな時は、デコレーションのコツを踏まえて作ると、仕上がりが見違える場合があります。今回は、デコレーションのコツやアイテムなどについてご紹介いたします。
シェフパティシエ 中村 和史
1986年ホテルオークラ東京入社。
デリカテッセンに並ぶペストリーのほか、レストランやご宴会・ウエディングなど館内で提供される洋菓子全般を担当。
シェフパティシエ就任後は「伝統と革新」をテーマに、お客様に喜ばれる洋菓子を提供すべく、日々研鑽を重ねている。
イチゴのショートケーキに生クリームを上手に塗るコツ
適度な脂肪分の生クリームを使う
生クリームには「動物性」と「植物性」があります。
動物性はコクがありリッチな味わいを、植物性は白さが際立ちさっぱりとした味わいを楽しめます。お好みでこの2種類をブレンドする事もおすすめです。
動物性だけだとクリームが重く、ボソボソになりやすいので、植物性を加える事で白さを保ち、クリームのなめらかさを保つ事が出来ます。
もちろんボウルを冷やしながら混ぜる事と、その後も適切に冷やしながら使用する事でキメが細かくなります。砂糖はクリームの量に対して10%(100gのクリームなら10gの砂糖)が程よい甘さだと思います。砂糖はグラニュー糖でクリームを立てる前に加えて一緒に立てる事が大切です。
上手にクリームを塗る(ナッペ・マスケ)ポイント
クリームで苺をサンドしたスポンジケーキを覆う作業をナッペ(英:マスケ)と言います。これが意外と苦戦するポイントです。そこで少しひと工夫をお教えします。
クリームを絞り袋に入れて、最初にスポンジの上側を中心からぐるぐる回しながら絞ります。この時、量はあまり多くない方が良いでしょう。もし足りなければ同じ事をもう一度して足せば良いのですが、多過ぎると収拾がつかなくなってしまいます。
同様にサイドにも適量のクリームを回しながら上から下へ絞ります。
全面がクリームで覆われたらここで初めてパレットナイフを軽くクリームに当てて、絞った時と同じようにぐるぐる回しながら上を、その後パレットの先の方を上手く当ててサイドも回しながら平らに整えます。
この方法であればクリームの厚みが均等になりやすく綺麗に仕上がります。
パレットは面をペタッとクリームに付けるより、そっとあてる程度がおすすめです。
まずはイメージをしてみましょう。
素手で掌を下に向け平らに広げて、右や左になぞる様な動きを取ります。
左に進める際は右手なら親指をやや上に手首をクッとひねるイメージで、右に進む際は小指を上に少し上げる様に手首を使います。
お風呂の中でお湯をかき混ぜる様に練習するとコツが掴みやすいと思います。ぜひ試してみてください。
イチゴのショートケーキを上手にデコレーションするコツ
絞り袋の口金
口金にも種類が色々ありますが、まずは丸口金です。
この場合クリームを絞り出す際に、初めに少し力を入れてクリームが出たら、そのまま力を抜いて上へ絞り袋を引き上げます。先の尖がった雫の様な形が絞り出せます。
オーソドックスなのはギザギザの切込みが入った星口金(ローズとも呼ばれます)です。先程と同じ様に絞りますが、クリームの固さを固過ぎず、少し柔らかくたてることがポイントです。固いクリームだと細かいギザギザの口金を通る際にボソボソになってしまうため、それよりも少しだけ柔らかいクリームを使用することをおすすめします。
クリームの適切な固さを知り、絞り袋は利き手の親指と人差し指の付け根で、しっかりと挟み込み、袋を2回転ほどさせて、口金方向へクリームを流し込む事が大事です。
この挟み込みが甘いとクリームが上に逃げてしまい、袋の上から漏れたり思う量が口金から出てこない事があります。
星口金で絞り出す際、バラの花のように見える事から星口金を「ローズ」と呼ばれ、よく「の」の字を書く様にと言います。円の小振りな「の」の字を縦にボリュームを出す様に絞ると綺麗に仕上がります。
トッピングをする
イチゴをトッピングする際は、ヘタを取った丸ごとのイチゴをのせてみましょう。イチゴの個数は偶数が良いでしょう。時計の文字盤をイメージして、初めに「12」と「6」の位置、次に「3」と「9」の位置、対面する様にのせていきます。
次はアレンジを加えましょう。イチゴを半分に切り揃えて、先程と同様にのせます。その内側にもう一周同じようにのせると、花が開くように見えます。
イチゴのショートケーキをデコレーションする際に便利なアイテム
パレットナイフ
パレットナイフは、生クリームをナッペ(マスケ)するために使用する道具です。ムラなく表面を均一にするためには必須のアイテムで、ケーキのサイズに合わせてパレットナイフを選びましょう。
私が新人に勧めるのは刃渡りが27cm程度のパレットナイフです。柄の部分が丸みを帯びた形状が最適で、刃のしなり具合やしなる場所をよく確認させます。
この1本で、直径にして10cm~24cmまでの幾つかのサイズのショートケーキを作ることが出来ます。プロとして自分のパレットは唯一無二の相棒となります。
そしてパレットナイフは高価な物のため、適切な物を選ばせるようにしています。
もちろん皆さんは、大きさに合わせ使いこなせる物を適切にお選びください。
回転台
回転台もナッペや絞り、フルーツ飾りの際に使用すると便利な道具です。中心にケーキを置いて、回転させながらパレットナイフを側面にまっすぐにあてると、表面をまっすぐ平らにすることができます。
泡立て器
泡立て器は生クリームを泡立てる際に使用します。ステンレス製のワイヤーがしっかりしたものが使用しやすくおすすめです。
その中でも卓上型が便利です。クリームに限らず生地作りにも使えますし、力が強いのでスピーディーに行えます。その次にハンディータイプも便利ですが、ホイッパーで十分です。
絞り袋
絞り出すための生クリームを入れるために使用します。使い捨てのものを使用すれば、衛生的にも安心です。
デコレーションコーム
デコレーションコームは、ケーキの表面に模様をつける際に使用します。形が三角形で、それぞれの面に大きさの異なるギザギザの山が付いています。
ショートケーキの側面に筋を入れる事でスタイリッシュに見えます。
デコレーションの考え方
ケーキのデコレーションをより美しくするためのコツは、「まねる事」です。
美しいケーキの画像をたくさん見つける事ができる今日では、「綺麗だな」と思う画像があればまず、それを見本に真似をするのはいかがでしょうか。
最後に
イチゴのショートケーキのデコレーションのコツはいかがでしたでしょうか。
手先の器用さが必要だと思い込まれている方も多いかもしれませんが、ちょっとした工夫でケーキの彩りが見違えることがあります。
季節の行事や記念日、お祝いに、見た目もおいしいイチゴのショートケーキを食卓に飾ってみてはいかがでしょうか。