ブラン・マンジェは、日本ではまだそれほど知名度はないかもしれませんが、ヨーロッパでは古くから親しまれている伝統的な冷菓です。幅広い地域で食べられていて、地域や作る人の好みなどによってレシピも様々あります。今回は、ブラン・マンジェがどのような食べ物か、よく似た他のスイーツとの違い、アレンジ方法などについてご紹介いたします。

シェフパティシエ 中村 和史

1986年ホテルオークラ東京入社。
デリカテッセンに並ぶペストリーのほか、レストランやご宴会・ウエディングなど館内で提供される洋菓子全般を担当。
シェフパティシエ就任後は「伝統と革新」をテーマに、お客様に喜ばれる洋菓子を提供すべく、日々研鑽を重ねている。
趣味は野球観戦と、きれいな料理の盛り付け画像を探すこと。


ブラン・マンジェの基礎知識

ブラン・マンジェ(blanc-manger)とは?
ブラン・マンジェとは、「白い」(blanc)「食べ物」(manger)という意味を持つフランス生まれの冷たいデザートのことです。「ブラマンジェ」とも呼ばれます。7世紀ごろにフランスに伝わったとされており、当時は肉などを入れる高級料理のひとつでしたが、19世紀ごろには今日のようにデザートとして食べられるようになりました。ブラン・マンジェはアーモンド、砂糖(グラニュー糖)、牛乳、生クリームを使用してゼラチンで固めて作ります。
鍋を火にかけて沸騰した牛乳に細かくしたアーモンドをいれて香りづけをするのが本来のレシピですが、アーモンドミルクを使用したり、アーモンドプードル(アーモンドパウダー)を牛乳に入れたりして作ることもあります。また、アーモンドは使用せずにバニラやゴマ、ココナッツなどで風味付けをすることもあります。

国により名称や製法が異なる
ブラン・マンジェはフランスだけではなくヨーロッパの他の国でも作られていますが、国によって名称が異なります。例えば、イタリアでは「ビアンコ・マンジャーレ」、スペインでは「マンハル・ブランコ」、イギリスでは「ブラマンジェ」と呼ばれます。それぞれ、日本語に訳すと「白い食べ物」になるので、意味は同じです。例えばイギリス式のブラマンジェはゼラチンの代わりにコーンスターチを使い、生クリームを使わないこともあるなど、国や地域によって作り方も異なります。


パンナコッタ・ババロア・杏仁豆腐との違い

ブラン・マンジェとよく似たパンナコッタ・ババロア・杏仁豆腐との違いについてご紹介いたします。

パンナコッタとの違い
パンナコッタは、パンナ(生クリーム)・コッタ(煮詰める)という意味で、生クリーム、牛乳、砂糖にバニラなどで風味をつけ、ゼラチンで固めたお菓子です。見た目も作り方もよく似ていますが、パンナコッタの方が生クリームを使用していること、硬めに固めることが多いことなどに違いがあります。また例外も多いですが、ブラン・マンジェはアーモンド、パンナコッタはバニラという風味の違いもあります。

ババロアとの違い
ババロアは、「バイエルン王国(現在のドイツ)の」というフランス語が由来になっています。卵、牛乳、砂糖で作ったカスタードソースに泡立てた生クリームを混ぜてゼラチンで固めます。決定的な違いは「卵」が入ることで、ブラン・マンジェとは異なりクリーム色をしています。

杏仁豆腐との違い
杏仁豆腐は、ブラン・マンジェと同じように牛乳、砂糖などを原材料としたアーモンドのような香りのするお菓子です。しかし、用いられているのはアーモンドではなく「杏仁」という杏の一種です(レシピによってはアーモンドプードルなどで代用されていることもあります)。杏仁とアーモンドは別物ですが、同じバラ科の仲間で性質や風味がよく似ています。他に、杏仁豆腐は生クリームを使用しないこと、ゼラチンではなく寒天で固めること、といった違いがあります。


ブラン・マンジェのアレンジ方法

アーモンド以外を使用する
そもそもその名の通り、ブラン・マンジェは「白い食べ物」ですから、色が付く他の食材を使用する事には賛否があります。ですが、実際には卵を加えないという前提で、ブラン・マンジェをアレンジする事はあります。
例えばココナッツや白ゴマ、黒ゴマなどがよく用いられます。ココナッツやゴマはブラン・マンジェのなめらかな食感にもよく合います。

ソースをかける
ブラン・マンジェにソースをかけて楽しむ方法もあります。このとき、どんな食材にも合うアングレーズソース(牛乳、砂糖、卵黄、バニラビーンズなどを混ぜてつくるカスタードソースの一種)がよく用いられます。他に、マンゴーやイチゴ、抹茶ソースなど、さまざまなソースが用いられます。


ご家庭でもぜひ手軽に真っ白なブラン・マンジェを

なめらかな食感と牛乳やアーモンドなどの風味が魅力の名前の通り真っ白なスイーツ、ブラン・マンジェ。似ているスイーツも多くありますが、7世紀以前は、デザートではなく高級料理として存在していました。国や地域によって材料やレシピも様々ですが、ゼラチンを使用すればご家庭でも手軽にブラン・マンジェ作りが愉しめます。ぜひ季節のイチゴなどを加えてアレンジを愉しんでみてはいかがでしょうか。

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